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2021-02-04

立春、そして、お茶会のなが〜い報告

2月2日の豆まきが終わって暦の上では立春。しかしここは北海道。立春その日から寒波がやってくる。道民にしてみれば暦とのズレはあるけど2月が一番寒いのは毎年のことなんだけどね。旧暦ではこの頃がお正月なので、そっちの方がなんとなくあってるような気もする。なんたって桜も梅も4月末から5月に咲くのが通常なので、まだまだ春は遠い。

先日と言っても1月31日日曜日に、俊カフェさんでイベントを行った。昨年11月に店主の古川奈央さんとコラボして制作した小さな詩画集「おやつのうた」のお茶会だ。おやつがテーマだったのでお茶会にしたのだけど、当初はできたらおやつを食べながら、ワイワイみんなと話そう〜という会にしようと思っていた。

というかこの企画自体、今のこのコロナの自粛下で厳しいもの。昨年の秋くらいは夏の間減ってきていたこともあり、まだ呑気にしてたのかも。(毎度、予防は最大限だけど)冬が近づくにつれて、厳しさも増し11月の頭の毎年の個展も悩み抜いたけど、静か〜〜に開催した。開催したおかげで見にきてくれたハープ演奏者の熊井芳美さんが、おやつのうたの朗読に曲をつけて合わせてみたいとおっしゃられた。何か機会があればという控えめな約束をした。

お茶会は年を越して、1月末あたりにしようということで奈央さんの提案で決まり、内容を検討するときに、あの控えめな約束を思い出し、奈央さんに提案して快くOKをもらった。そして、会の日程が近づくにつれて、読み聞かせでいつもお世話になっている高橋貴美さんが参加してくださるということに。熊井さんとの出会いも貴美さんが私がだいぶん前にえりも町のために描き下ろしたアイヌのお話「海から来た少女 ポロエンルムの話」を読むということで、2年前に伺ったときにであったのだ。なので、貴美さんがくるならばぜひ、この時のお話とハープとのコラボをして欲しいとお願いした。

快く引き受けてくださり、お茶会はお茶会という名の朗読&演奏会に。

開催数日前に決定した当日プログラム。ボリューム満点の会になった。昨年のまだぼんやり考えていた頃とは大違い。人と人がつながりあって出来上がった。当日もそんな感じが全体に漂ってて、ドキドキの緊張はあるけれど嬉しくて楽しいの方が優っていた。

13時半から開場し、会は14時から、奈央さんのご挨拶から始まった。

プログラム1は「おやつのうた」の制作についてのお話。奈央さんの聞き手でももが話し手で漫才の如く?お話をさせていただいた。小さな冊子に込めた思い。甘くてちょっぴり懐かしくて、口に含んだら嬉しい気持ちにさせてくれる「おやつ」。ホッとする日常の情景(昔の思い出など)と重ね合わせた。

プログラム2は奈央さんによる「おやつのうた」の朗読と、熊井芳美さんによる「おやつのうた」のハープ伴奏。ちなみにこの日のハープは開催日の1週間前に届いたイタリア製のハープ。コロコロとかわいいきれいな音が魅了的だ。詩に合わせたハープの音色が、より心地よいおやつの歌のイメージを広げてくれている。

プログラム3は熊井芳美さんが冬にまつわる懐かしい曲を3曲披露してくださった。耳も嬉しくてワクワクしていた。演奏は冬景色、雪やこんことあとひとつ。最後の曲は、次の自分の読み聞かせモードに入って、うっかり失念。(らしさ満開(^^;))

プログラム4はももの絵本読み聞かせ。読んだ絵本は2冊。1冊は昨年の個展に描き下ろした「こぐまたびにでる」。この絵本はなかなか旅に出ることもできないこのコロナ下で、それならば絵本でこぐまに旅をさせようと思いついて書いた絵本。冬景色が描きたくて、北に向かったこぐまの話。一人だけど一人じゃない。一人旅をするこぐまが、ふと思う。今このコロナで、日常を過ごしていても、不安やいろいろなことをひとりで悩むことが多い昨今。あなたの旅も決して一人じゃないよ〜とメッセージを込めた。もう1冊は「シャガールおじさんとねこのビビ」。これは2013年に道立近代美術館で行われた「シャガール展」のための子供用図録として描き下ろした絵本。全国5カ所を巡回し、いろいろな好評を得た絵本。展覧会のための絵本なので、販売はすでにしておらず、在庫もすでになくなってしまった。奈央さんからのリクエストにお答えして読ませていただいた。当時の制作秘話を話しながら、自分もとても懐かしかった。

プログラム5は貴美さんの朗読と芳美さんのハープ伴奏で「海から来た少女〜ポロエンルムのお話」。貴美さんの緩急をつけた朗読は、お客様もどんどん引き込まれていく。この絵本を初めて朗読されたときに、作った紙芝居(木枠はもんじいさん作)も持ってくてくださった。紙芝居は私がぶっつけ本番。貴美さんの声で物語が進むにつれて、そこにハープの音色が響き、物語が厚みを帯びていく。あれ?私こんなこと書いたかな?と思うくらい自分で書いたとは思えない言葉。自画自賛ではなく、読み手の言葉の響きで、伝わる位置が違うような。それくらい感動した。この絵本はえりも町が美しい岬に指定され、文化掘り起こしのための3カ年計画の最後の年に、絵本を作ろうということで依頼があり描き下ろしたもの。今でもえりもの郷土資料館のHPにて申し込むと、絵本を送ってもらえる。

最後はいろいろなご案内とそしてちょっとした交流タイム。

奈央さんが「みなさんとても良い笑顔で帰っていかれましたよ〜」と聞いて、ホッとした。貴美さんと熊井さんは「このコロナで、対面での読み聞かせをずっとしていなかったけど、やはり対面で直接行って、本当に楽しかった。やっぱりいいよね〜」と言ってくださった。心地よい、暖かな空気が俊カフェいっぱいに広がっていた。実はちょっぴりこっそり涙が出た。そんな空気は本当に本当に久しぶり。一人ではできない一緒だったらできた。この充実感は大きい。人は一人じゃない。こぐまの思った通り。

また何か一緒にできたらいいなぁ〜〜!!!

それにはまた読んでもらえるような作品を描かなくては。そんな思いが立春と重なった。ポロエンルムの1節に「ひと針 ひと針 いのりこ込めて ひと削り ひと削り いのりを込めて」とある。同じように「ひと描き ひと描き いのりをこめて」平和で健やかな心地よい未来へのいのりを込めて。マスクして消毒して換気に気をつけ、密にならず、自分の仕事をしよう。なんだか宮澤賢治の雨ニモマケズ風ニモマケズ・・・ジョウブナカラダヲモチ・・・的に。

長文ありがとうございます。

***俊カフェでのイベントは、店主の古川奈央さんのご配慮のもと、参加者もマスク着用、消毒などを徹底し、換気をよくした中で、開催しました。

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