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2023-01-11

パスカル・アンベールさん

この3日間(1月8・9・10日)はフランスのグラフィックデザイナーで絵本専門科のパスカルさん(&通訳の川本美希さん)をお招きして、8日は子ども(大人も)ワークショップ、9日は大人向けの絵本のお話、10日は私たちの小さな絵本会での集まりに来ていただき、ヨーロッパの絵本の世界を堪能しました。3日間を経て、少しまとめておかなくては忘れるというか、もったいないなということで感想ノート。(レポートではありません。個人的な感想です)

パスカルさんと通訳の川本美希さんのプロフィール

グラフィックデザイナー/絵本専門家
パスカル・アンベール
1992年トゥールーズにグラフィックデザインのアトリエ「アトリエ・デ・ザーペット(l’Atelier des arpètes)を共同設立。グラフィックノベルと絵本の批評雑誌『オー・カードル(Hors cadre[s])』共同執筆者。ヨーロッパをはじめ、南アメリカ、アジアなど、世界各国で講演会や展覧会を次々に手掛けてきたアンベールは、教育者としても、子供のためのワークショップや学生のためのセミナーを各地で行っている。2014年には、スペインのバルセロナ、2017年には韓国、そして昨年2018年には日本の3都市で、大使館協賛によるフランス絵本展覧会「フランス絵本の世界にようこそ!」の総監修を務めた。

日仏通訳/翻訳・イベントコーディネーター
川本美希
京都大学大学院でフランス語教育論、パリソルボンヌ大学院で飲食文化研究の修士課程を修了。日本でフランス文化事業の企画運営に携わった後、フリーランスとして2019年よりパスカル・アンベール来日イベントのコーディネートを行う。翻訳業では、白水社の仏小説の日本語訳や日本酒紹介アプリの仏語訳を担当。2021年より南フランスにあるチーズ製造組合でマーケティングと輸出事業を担当しながら、並行して通訳・翻訳の仕事を行なっている。

8日子どもワークショップ

WSのご案内は中村昭子さんが担当してくれました。

子どもはもちろん大人も一緒に遊ぶ、学ぶ

まずは文字ができていく過程や歴史を知り、文字をデザインするというワークショップ。自分のワークショップだときっと歴史をかなり割愛してしまうだろうけれど、しっかり丁寧に伝えていく。とても面白かった。作業に入ると、黙々と作っていく。さっきはちょっと眠そうだった小さい子も、人見知りで会場に入れなかった男の子もレゴを使うとなれば、ささっと入ってきて楽しそうに参加!9時右で当たったアルファベットを最初は紙にいろいろな形でかき、次はそれをもとにマス目の紙に書いていく。それを・・なことをして、レゴのブロックで自分おデザインした文字を作り、これに紙を当てて文字を写しとって行く(フロッタージュ作業)。最後にレゴの文字盤を使っていろんな単語を作って楽しみました。

ちょっとシャイな日本の子どもたちも進んでいくとともに緊張がほぐれ、小さい声も普通の声に。紙はたくさんあるから失敗してもいいんだよの掛け声がいい。そう、失敗いはつきものだし、この場合の失敗はほぼない。書き損じとか書き間違い。

後日、パスカルさんが話してたのは子どもワークショップの時はできるだけ親は参加せず、待機するのも別な場所で待機してもらい、子どもだけで参加してもらいたい。その理由は子ども自身が自分で考え、誰のコントロールも受けずに自由に発想してほしいからだそう。確かに親がそばにいると顔色見ちゃう子や甘えちゃう子もいるのは本当。それは私もよく感じること。子どもたちが色や形、なんでもそうだけど自分の好き嫌いを素直に言えて、受け止める大人がいる中で何を作っても否定されずのびのび創作できるのは素晴らしいいことなんだよね。親や大人はやはり遠くから見守って、子どもたちの領域を尊重することをしていく、大人も大人にならなくちゃとその大事さを確認。私もこれから年に何度かはワークショップを行うけれど、どこであっても子どもの領域を尊重できるような環境を作りながら行おうと密かに?心に決める。今回は親も一緒に参加してもらって、楽しく同じ体験をしてもらい、子どもと大人ではなく同じ土俵に立つ体験者になってもらったワークショップだった。

9日「子どもの絵本から見るアバンギャルドな世界」絵本のお話会

昨年11月ごろ、この企画をどこで?と考えたとき、ふと俊カフェがいいなぁとの奈央さんにご相談。12月下旬にパスカルさんたちが一度札幌にきたときにはるかさんと俊カフェで打ち合わせ。場所の持つ力をお借りして開催させてもらった。お陰様で参加者は絵本関係者がたくさん集まってくださった。参加してくださった皆さんありがとう!そして、奈央さんに感謝!

お話はヨーロッパの絵本を中心に年代ごとにそして、その歴史的背景を踏まえながら見ていく。日本と欧州の文化的な違いやベースにある主義的な違いも感じつつ、革新的に(アバンギャルド)子どもたちへのアプローチがその時々にあることを教えてもらう。例えば政権や国の政変、戦争などがあると、次の世界はこうしたいという国の方針が、未来を築く子どもたちへの絵本にも流れ、アプローチが変化していく。意図としてそうなる場合もあるし、時代の流れでそうなる場合もある。現在もロシアが仕掛けた戦争のことで平和を考える絵本なども多く出版されたり、読まれたりしている。もちろん全てが良い方向や同じ方向ではない。また、どうしても絵本は大人が与えるものというパスカルさんの説明にはたっと気が付く。そう、子どもに買うのはどうやっても最初は親や祖父母の方が多い。大人が良いと思わなくては子どもに届かないのだ。改めてそう聞くと、知っていたことだけど、ほんとそうだ。と改めて思う。大人たちは何をどうするべきなのか、ちょっと考えてみる必要があるかもしれない。

この時代、さまざまな値上がりと30年上がらないお給料とを考えると、最近、絵本は高価で買えないという人がいると絵本仲間が言っていたが、本当に切羽詰まると本を買うより今日のご飯が大切なのは当たり前。なんだけど、それでも子どもたちが毎日絵本を読める環境があるといいなぁと何かできることあるかなぁと思いを巡らす。子どもが自由にゴロゴロしてもいいような好きなスタイルで絵本を読んで、お腹が空いたら一緒におにぎりとお味噌汁を作って食べて、そして絵を描いたり工作したり自由にできる空間があったらいいのかもと。この数年何か場を作りたいと、もや〜〜〜っと考えてきていたことの輪郭が見えてきた。場所は大事だ。けど資金がないので、場所の提供を求む。そんな場所がたくさんできたら、いいのにとつくづく思う。

この2日間パスカルさん&美希さんのおかげで、新しい視点で絵本を見つめることができてとても面白かった。子どもたちや若者がのびのびと自分考えをちゃんと素直に言える環境があって、いつか大人になって、お互いの違いがあっても思いやりを持って、コミュニケーションをとれる人になっていけるといいよなぁと思った。大人の私はちゃんと尊重できる大人になりたいと思った次第。

10日小さな絵本会にて

この数年、マットさんとかとうまふみちゃんとたちばなはるかさんの4人で、たわいもない話をしながら最近のお気に入りの絵本を読み合ったりする楽しいお勉強の絵本会。今回は子どもワークショップでお世話になったボビラ堂の中村あこちゃんと特別ゲストにパスカルさんと美希さんと一緒に総勢7人で絵本会。

マットさんが12月に行っていたフランスから持ち帰った絵本や、それぞれみんなが持ち寄った絵本、パスカルさんが持ってきた絵本を解説しながらご飯を食べ飲んで、会は6時間以上続いた。それでも時間は足りなかった。絵本にどっぷり浸った時間を過ごさせてもらって楽しかった〜。絵本の表現もそれぞれ異なるし、掘り下げるべきテーマもそれをどう見せてくのかも違う。本当に刺激的な時間だった。世界にはたくさんの絵本作家がいて、たくさんの異なる表現をして、時代とともに歩んでいる。いろいろな人がいる限りいろいろなテーマの絵本が読み継がれていくのだろうと思う。こんなご縁を結んでくれたマットさんとフランスの絵本作家のオリビエさんたちに感謝!そしてパスカルさんと美希さんに多大な感謝を!いつかフランスで?またお会いできるといいなぁ。

1月の年頭3日間はそんなふうに絵本のことだけを考えた3日間だったけど、絵本は日々の暮らしにつながっていて、社会の問題、例えば食糧や環境地球のことの隅々にまで、絵本は関係している。絵本もつ大きな役割を再認識した3日間だった。この再認識を忘れずに、本も絵も文も制作したいと思う。

1月の年頭に良い計をたてることができたかも。

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